菩薩は成道の前に、成仏を予示する五つの大夢を見た。 大正蔵
パーリ三蔵
身体が大地に横たわり、頭は雪山(ヒマラヤ)を枕とし、両手は東西の二つの海に、両足は南海に届く夢。 パーリ三蔵
臍から草が生えて天まで伸びる夢。
白い虫が足から膝まではい上がる夢。 パーリ三蔵
四色の鳥が四方から飛んで来て、足もとに降りるとみな白くなる夢。
糞の山の上を歩いても汚れない夢である。
主要な各部派の経典がこの五つの夢を記しているが、夢を見た時期は各本で異なる。
異なる記載
夢を見た時期:南伝『増支部』とサンスクリット本『マハーヴァストゥ』は成道の前とだけ記す。
漢訳『根本説一切有部律』と仏伝『方広大荘厳経』『仏本行集経』『衆許摩訶帝経』は出家の夜とし、南伝の後世の註釈書は乳粥の供養を受ける前夜とする。
記載の相違をさらに見る(3)
夢の細部:サンスクリット本『マハーヴァストゥ』は第三の夢を、赤い黒頭の小虫が足の裏から膝まではい上がる(南伝は白い黒頭の虫とする)とし、第四の夢を、四羽の鳥が菩薩の足を嗅いでから白くなるとする。
仏伝『仏本行集経』は第四の夢を、黒頭の白い獣四頭が菩薩の足を舐めるとする。
同じ夜のほかの人の夢:漢訳『根本説一切有部律』は、ヤソーダラーが八つの夢を、大世主(すなわちマハーパジャーパティー、菩薩の姨母)が四つの夢を見たとする。
仏伝『修行本起経』は妃が五つの夢を見たとする。
サンスクリット本『マハーヴァストゥ』は、これは仏陀が成道後にサーヴァッティーでたちに回想して語ったものとする。
ただしこの段の末尾の題名は「スッドーダナ王の五つの大夢」となっており、本文が菩薩の夢を語るのと合わない。
時期
南伝の後世の註釈書の「乳粥を受ける前夜」説によれば仏陀三十五歳、「出家の夜」説によれば二十九歳。
南伝『増支部』は成道の前とだけ明記する。
年は不確定。
関連項目
- 年
- 地名
- 人物
- 説かれた経
研究者向け資料:信頼度・年の根拠・全出典
- 信頼度の判定方法
南伝パーリ経典、漢訳『根本説一切有部毘奈耶破僧事』、サンスクリット本『マハーヴァストゥ』の三部派に記載があり、多部派共伝に属する。
- 年の根拠と時間の精度
経典の明記(経典自身が時期を記している)。
註釈書による(経典には記されず、後世の註釈書が時期を記した)。
時間の精度:年は不確定。
出典
- パーリ三蔵巴利 AN 5.196:1.1–2.2
- 大正藏大正藏 T24 no.1450 p.115b–c
- 大正藏大正藏 T03 no.187 p.572a
- 大正藏大正藏 T03 no.190 p.728a
- 大正藏大正藏 T03 no.191 p.945c–946a
- 巴利註解書巴利註釋 Ja-a
- パーリ三蔵巴利 AN 5.196経典の冒頭
- 轉引自現代整理本轉引自現代整理本
- 梵文原典梵文《大事》第二冊 p.136–140
- 大正藏大正藏 T03 no.190 p.728b
- 大正藏大正藏 T24 no.1450 p.115b
- 大正藏大正藏 T03 no.184 p.467c
- 梵文原典梵文《大事》第二冊 p.136–137
- パーリ三蔵巴利 AN 5.196:3.1
- パーリ三蔵巴利 AN 5.196:1.1